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スペインの名将の気になる「習性」。清水の5バック採用は不吉な兆し?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

現在15位に低迷している清水エスパルスのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督現在15位に低迷している清水エスパルスのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督 試合終了間際、右サイドで横浜F・マリノスの水沼宏太が、球足の速いクロスをGKとDFの間に入れた。飛び込んだブラジル人FWレオ・セアラがそれを押し込み、それが決勝点となった。

「最後の20分間は、相手に支配される時間が続いてしまい、少しのミスで失点してもおかしくない状況になっていた」

 清水エスパルスのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督はそう言って、2-1と敵地で敗れた試合を振り返っている。皮肉な結果だった。セレッソ大阪監督時代、最も重用した選手のひとりである水沼に引導を渡されたのだ。

 清水は現在、J1で20チーム中15位に低迷している。降格圏の17位と勝ち点差はわずか1。昨シーズンも18チーム中16位だっただけに、そこまで悲観することはないが......。ロティーナ新体制になった清水は、これから浮上するのか?

 横浜FM戦で、ロティーナは4バックではなく5バックを採用している。選手のキャラクターによって、システムを使い分けられるのは指揮官の特長と言える。ルヴァンカップ、グループステージ最終節で、5-1と横浜FMに敗れていたこともあっての変更だ。

 しかし、内容は厳しかったと言わざるを得ない。

 ライン間のバランスが悪く、横のスライドも間に合わず、ロティーナのチームらしい合理的なポジショニングやカバーができなかった。その結果、前半4分には何でもないサイド攻撃にヴァウドが呆気なく走り負け、左ワイドの奥井諒が絞り切れず、クロスをエウベルに叩き込まれた。

 その後、人海戦術でどうにか失点を許さなかったものの、攻め手はほぼない。最終ラインが低すぎるため、ボールを奪い返しても相手ゴールは遠かった。守備偏重の弊害だ。

 もっとも、名将ロティーナは仕掛けも施していた。

 右の攻撃的MFの位置に入った片山瑛一を横浜の左サイドバック、ティーラトンにぶつけ、「高さ、強さを生かした局面勝利で活路を開く」はひとつのプランだった。そして前半41分、左後方からのロングサイドチェンジを片山瑛一が収めると、右サイドを走るエウシーニョへパス。ゴール前に流し込んだクロスを、チアゴ・サンタナが一度GKに防がれながら同点弾を押し込んだ。

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