スペインメディアも祝福。イニエスタはこの2年で神戸に何をもたらすか
「イニエスタ、引退か?」
5月10日、そんな憶測が日本国内を駆け巡った。「5月11日にアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)の記者会見が行なわれる」。そのニュースリリースはあくまで「誕生日の重大発表」だったが、なぜか「引退発表」に強く結びつき、ネットなどで一時騒然となった。あらためて、高い注目度と言えるだろう。
しかし、筆者には引退は俄かには信じられなかった。なぜなら、その前日の試合(横浜F・マリノス戦)でのプレーは何ひとつ予兆を感じさせなかったからだ。長い故障からの復帰にもかかわらず、ひとり超然とプレーを楽しんでいた。
「誕生日に引退の発表はないよ」「アンドレスがシーズン半ばで引退? 彼はそんな無責任人間ではない」「おそらく、ハッピーな発表では?」
スペインの知り合いの記者や神戸の関係者に打診したが、揃って一笑にふされた。念のため、元神戸監督でイニエスタと親交の厚いフアン・マヌエル・リージョ(現マンチェスター・シティコーチ)にもメッセージを送った。
「アンドレスは故障明けで復帰し、プレーする喜びを感じているだろう。彼は日本でまだまだ長く現役を続けるはずだ」
それが返事で、まさにそのとおりになった。イニエスタは神戸との2年の契約延長にサインしたという。
ヴィッセル神戸との契約の2年延長を発表したアンドレス・イニエスタ「イニエスタ、2023年まで現役続行」
スペイン大手スポーツ紙『アス』は、その見出しで祝福した。
「これ以上ない形で37歳の誕生日を祝う!」
バルセロナ系のスポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』も、そうエールを送っている。バルセロナとしては、むしろクラブ再建に向けてスタッフとして戻ってきてほしいはずだが......。
これからの2年で、世界最高のMFイニエスタが神戸にもたらすものとは――。
2018年7月。スペイン代表として出場したロシアワールドカップ後、イニエスタは神戸の選手としてJリーグデビューを果たしている。それから3年足らずで、すでに多くのものをクラブにもたらしてきた。
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