三笘薫の挑戦。脱スーパーサブでドリブラーから「真のエース」へ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

『特集:Jリーグが好きだっ! 2021』
富士ゼロックススーパーカップ「川崎フロンターレvsガンバ大阪」

 2月26日に開幕するJリーグ。スポルティーバでは、今年のサッカー観戦が面白くなる、熱くなる記事を随時配信。さまざまな視点からJリーグの魅力を猛烈アピールする! 今回は2021シーズンの幕開けとなる「富士ゼロックススーパーカップ」で2ゴールを決めた川崎フロンターレの三笘薫にスポットを当てた。

今季の初陣でいきなり2ゴールを決めた三笘薫今季の初陣でいきなり2ゴールを決めた三笘薫 三笘薫の名前を広く世に知らしめたのは、昨年11月の横浜F・マリノス戦で見せた圧巻の"80メートルドリブル"だろう。

 自陣エリア手前でボールを拾うと、そのままドリブルを開始。追いすがる相手をスピードで置き去りにしてバイタルエリアに侵入し、寄せてきたCBを股抜きで翻弄。最後はもうひとりのDFを引きつけながら、絶妙なアウトサイドパスを味方に通し、ダメ押しゴールを演出した。

 それまでも大卒1年目とは思えないパフォーマンスで川崎フロンターレの躍進に貢献してきたが、このプレーは別格だった。

「ありえないものを見てしまった」

 そんな衝撃の"80メートルドリブル"は、2020年のJリーグで最もインパクトのあるプレーだった。

 年が明けて2021年。新たなシーズンの初陣となった富士ゼロックススーパーカップで、三笘は早くも主役となった。

 左ウイングとしてスタメン出場すると、29分に田中碧のパスに抜け出して先制ゴールを奪取。さらにその3分後には、山根視来のシュートのコースを変えてゴールに押し込んだ。

 主導権を握りながらも得点を奪えないもどかしい状況を、三笘があっさりと打ち砕いたのだ。その立ち姿には、プロ2年目とは思えないほどの貫禄さえ漂っていた。

 後半に2点を返されて追い詰められた王者・川崎だったが、ラストプレーで小林悠がゴールを奪い、昨季のリベンジに燃えるガンバ大阪の挑戦を退けている。

 勝利の立役者となった三笘だが、そのスタイルには変化が感じられた。ドリブラーの色が濃かった昨季と比べると、よりゴールを意識したアタッカーの匂いが強まった印象だ。

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