橋本拳人&室屋成の穴を埋め切れない
FC東京。若手台頭の希望はあるか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

◆FC東京・森重真人インタビュー>>

 近年、Jリーグではシーズン途中の戦力流出、すなわち、夏の海外移籍が頻発している。

 それがどの程度事前に見込まれていたかは、それぞれのケースで事情が異なるだろうが、いずれにせよ、クラブにとって大きな痛手であることは間違いない。

 今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響でヨーロッパの移籍市場も動きが鈍く、それほど影響は受けないかに思われたが、決して例外とはならなかった。

 この夏、海外移籍が相次いだのは、FC東京。しかも、MF橋本拳人、DF室屋成と、現役・日本代表クラスの連続流出である。その穴を埋めるのは容易ではないだろう。

 というより、簡単に埋められないからこそ、彼らは日本代表選手なのである。

 橋本はJ1第5節、室屋は同第10節での出場を最後にクラブを離れたが、J1で現在3位につけるFC東京に、成績が降下した様子は見られない。

 しかしながら、シーズンは折り返し地点を過ぎたばかりで、先は長い。厳しい残暑のなか、中2、3日での連戦が続いたJ1第24節の大分トリニータ戦は、ピッチ上に空いた穴の大きさを、改めて思い知らされる試合だったのではないだろうか。

 この試合は、FC東京がAFCチャンピオンズリーグとの日程重複を避けるため、変則的に前倒しで行なわれたものである。いわば、急遽組まれた予定外の試合だった。

 そんな試合にFC東京は、20歳以下の3選手、右サイドバックのDF中村拓海(19歳)、右センターバックのDF木村誠二(19歳)、アンカーのMF品田愛斗(20歳)を同時に先発出場させた。単純にポジションで言えば、室屋の穴を担当するのは中村拓、橋本の穴は品田である。

 この試合を前に、3人のJ1通算出場試合数は全員分を足して、ようやくふた桁。まだまだ経験に乏しい若い選手たちだったが、過密日程とチーム状況を考慮すれば、やむを得ないところだっただろう。

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