イニエスタ不在のパズルはハマるか。
神戸が目指す「依存しない」着地点
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9月5日、BMWスタジアム平塚。J1リーグ第14節、敵地に乗り込んだヴィッセル神戸は、湘南ベルマーレと1-1で引き分けている。最下位のチームを相手に優勢に攻めたものの、仕留め切れなかった。
「今日の結果を振り返ると、アウェーでの引き分けだが、満足はしていない」
神戸の指揮官であるトルステン・フィンクは言う。現在は10位で、優勝争いからは引き離された状況だ。
湘南ベルマーレ戦で同点ゴールを決めた酒井高徳(ヴィッセル神戸)「ボールポゼッションで上回り、ゴール前に迫って、チャンスも作り出せた。しかし最後の精度などで、勝ち切れなかった。(トーマス・)フェルマーレンが戻って来られたのは朗報だが、他にも(故障で)まだ使うことができない状態の選手がいる。例えば、もし(アンドレス・)イニエスタがいたら、試合を決するパスやシュートをしてくれていたかもしれない。それはドウグラスも同じだが......」
酷暑の連戦により選手のコンディションは不安定で、故障にもつながる。ベストメンバーには頭を悩ませるところだろう。
なかでも、チームにあってイニエスタは唯一無二の存在と言える。たった1本のパスで、すべての局面を変えられる。そのエースを欠いた場合、どんな名将でも戦力ダウンは避けられないだろう。
<イニエスタ不在に向き合うことができるか>
それが神戸の課題と言えるかもしれない。
コロナ禍から再開後の5試合は、神戸は2勝2分け1敗(5得点5失点)と白星が先行していた。その後は一進一退の攻防を繰り返しながら、緩やかに負け越している。ルヴァンカップ準々決勝では、川崎フロンターレに0-6と大敗し、直近のリーグ戦3試合は勝ち星がない。
ルヴァンも入れた直近の10試合では、24失点を喫している。試合をコントロールできず、失点が増加。湘南戦もそうだが、敵陣でボールを奪われたところからディフェンスがはがされて、中盤の選手が簡単にラインを越えられてしまい、勢いのまま失点を許していた。
チームの調子は、実はイニエスタの調子に符合している。
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