2020.04.11

神がかったようにゴールを量産。
サガン鳥栖を新時代に導いた豊田陽平

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 なにより、ゴールをするたびにゴールの感覚が研ぎ澄まされていった。ボールを呼び込むために必要なマークを外す動きが洗練され、パワーでぶつかるだけでなく、駆け引きも上達した。多くのゴールパターンを習得することで、無心の動作ができるようになっていった。

 たとえば同年9月、鳥栖はファジアーノ岡山を迎えて6-0で大勝しているが、このゲームで豊田の動きは冴えわたった。前線からの強力な守備で、まずは相手の気力を削いだ。Jリーグ最高のDFのひとりだった元ブルガリア代表ストヤノフを子ども扱い。先制点を含む、2得点を叩き込んだが、攻撃そのものをけん引していた。

「ゴールをすることで周りが変わり、自分も変わる。自分は子どもの頃から、その繰り返しで成長できました。ゴールはきっかけですね」

 そう洩らしていた豊田は、このシーズン、23得点でJ2得点王に輝いている。同時にクラブを2位に押し上げ、悲願のJ1昇格を成し遂げた。鳥栖というクラブの新時代を開帳させたのだ。

 その後、豊田は自らのゴールによって、鳥栖をJ1に押しとどめ、最高5位まで引き上げ、自身もストライカーとして着実に成長を遂げている。

 2012年シーズンにはJ1でベストイレブンに選ばれ、カップ戦を含めると、5シーズン連続で15得点以上。大久保嘉人らと得点王争いを繰り広げ、Jリーグを代表するストライカーのひとりとなった。そして、アルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチと、3人の監督から日本代表に選ばれている。