横浜F・マリノスは、いまの魅力を
失うことなく「本物」になれるか (2ページ目)
それだけに、DF畠中槙之輔が「自分たちの集中力が低く、(ボールの)取られ方が悪かった」と振り返る、後半の立ち上がりだけが悔やまれる。
せっかくいい縦パスが入ったにもかかわらず、中盤で簡単にボールを失った瞬間、高い位置を取っていた右サイドバックの背後を突かれる形で失点。つまりは、清水のポジティブ・トランジション(守備から攻撃への切り替え)が、横浜FMのネガティブ・トランジション(攻撃から守備への切り替え)を上回った。アンチ・ポゼッション派から「そら、見たことか」と、ツッコミを受けやすい失点の仕方である。
とはいえ、だから、もっとリスク管理が必要だという考え方に陥ってしまうと、横浜FMが目指すサッカーにおいては、本末転倒だろう。
ボールを保持しながら、数的有利な局面を作り出すということは、裏を返せば、他のどこかで、必ず数的不利が生まれるリスクと背中合わせではある。だが、ボールを失うことがなければ、結果として、その数的不利は意味をなさない。あるいは、ボールを失ったとしても、その瞬間の数的有利を生かし、すぐに奪い返すことができれば、問題は起きない。
「あの(中盤でボールを失った)ミスをなくすのが前提。サイドバックが高い位置を取るサッカーなので、あそこで(ボールを)取られると、一気に(DFが)置いていかれて、守備で不利になる。ああいう場面でミスをなくさないと」
畠中がそう語るように、つまりは、ボールを失ったあとの対策を考えるよりも、いかにボールを失わないか(または、失ってもすぐに奪い返すか)に注力するほうが、理にかなっている。
キャプテンマークを巻くMF喜田拓也が語る。
「(敗因は)自分たちの力のなさ。(重要なのは、相手どうこうではなく)自分たちの質をどのくらい上げられるか」
第21節終了時点で3位につける横浜FMだが、総失点数を比較すると、横浜FMの26は、首位のFC東京(総失点16)や、2位の川崎フロンターレ(同15)に比べ、10点以上も多い。このままでは失点の多さが、優勝争いの足を引っ張りかねない。
しかし、だからといって、失点したくないという意識が過度に強くなっては、横浜FMの魅力は失われる。
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