2019.07.08

ベガルタ、またも埼スタで勝てず。
「鬼門」は己の意識のなかに作られる

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「勝てませんね、埼スタで……」

 ベガルタ仙台の渡邉晋監督は、試合後の記者会見で自嘲気味に、そう語った。

 仙台にとって浦和とのアウェーゲームは、J1に昇格した2002年以降、一度も勝ったことのない、まさに鬼門である。カップ戦を含めても勝利はなく、昨年度の天皇杯決勝でも、この地で悔し涙を流している。

4連勝と勢いに乗って埼玉スタジアムに乗り込んだ仙台だったが...... 苦手意識は、現実以上に相手を大きく見てしまうものだ。あるいは、畏怖の念を抱いてしまったのかもしれない。普通に戦えば、結果はついてきた可能性はあった。

 しかし、埼玉スタジアムにおける浦和レッズという相手を、過大評価してしまった。それが、この日の仙台だった。

 今季の仙台は、ホームで迎えた開幕戦で浦和と引き分けた後、リーグ戦で4連敗と大きく低迷。第6節にサガン鳥栖を下して今季初勝利を手にしたものの、その後に再びリーグ戦2連敗と、苦しい戦いが続いていた。

 2014年から指揮を執る渡邉監督のもと、これまでの仙台は3バックを主戦としてきた。ボールを大事にし、サイドを有効活用して、相手ゴールに迫っていくスタイルだ。

 結果はなかなかついてこなかったが、着実にスタイルは浸透していき、昨季は渡邉体制下で最高となる11位でシーズンを終えた。天皇杯では、クラブ史上初となるファイナル進出も果たしている。

 継続路線を推し進め、さらなる高みを目指した今季。だが、開幕からよもやの苦境に陥っていた。

 危機的状況下で渡邉監督は、ひとつの決断を下す。3バックから4バックへのシステム変更である。

 その決断は見事に奏功した。第9節のガンバ大阪戦で今季2勝目を挙げると、第14節からは怒涛のリーグ戦4連勝を達成。首位のFC東京や上位の北海道コンサドーレ札幌を撃破しての、価値ある連勝だった。

 その流れで迎えた第18節の浦和戦。鬼門突破の機運は、確実に高まっていた。しかし、前半終了間際に”天敵”興梠慎三に先制点を献上すると、後半早々に椎橋慧也が退場となり、そのまま0−1で敗れている。