川崎の自力突破消滅。Jリーグ王者はなぜACLで勝てないのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 鬼木監督は「ピンチは自分たちのパスミスから起きていた。その後の対応を含めて詰めていかなければならない。タフさ、強さについてもう一度確認しながら。うまいだけでなく強さも......」と反省を口にしたが、両チームの違いは一目瞭然。外国人選手の差だ。

 なぜ川崎には外国人選手がいないのか。使える選手のみならず、絶対数も足りていない。

 予算は十分あるはずだ。Jリーグを2シーズン連続で制しているので、その賞金だけでも並のチームの年間予算分ぐらいある。探し出す力がないのか。そもそも欲していないのか。

 川崎は日本人選手だけで戦っている印象だ。上海上港のような強烈な外国人選手を揃えたチームと戦えば、フィジカルで劣る日本人の弱点が露わになりやすいサッカーだ。ひ弱さが露呈するのは当然だ。"うまさ"とひと口にいっても、その幅は狭い。ある種のうまさに限られる。色合いに幅がない。単色に近いのだ。川崎のカラーをもてはやす声は大きいが、ドメスティックであることも事実なのだ。

 同日行なわれたH組のもう一試合、蔚山現代対シドニーFCは、1-0で蔚山が勝利した。その結果、蔚山の首位通過とシドニーFCの脱落、そして川崎の自力突破の目もなくなることになった。

 川崎の次戦の相手はシドニーFC(アウェー)。上海上港は蔚山現代と戦うが、こちらは蔚山にとっては消化試合なので、ベストメンバーを送り込むことはないだろう。上海上港の勝利は見えたも同然だ。川崎の突破は最大でも20~30%ぐらいしか見込めない、可能性の低いものになった。

 エウシーニョの後釜に取った外国人選手が、交代選手にすらならないこの現実を見ると、苦戦の原因は、選手、監督ではなくフロントにありと言いたくなってしまうのだ。

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