2019.05.07

FWがより多くのゴールを決めるために必要な「心得」とは?

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■J1第10節終了時点で、藤本憲明(大分トリニータ)がJリーグの得点ランク3位の6得点をマークし、今季から鹿島アントラーズに移籍した伊藤翔は4得点。今年で藤本が30歳、伊藤が31歳。年齢を重ねながら磨いてきた得点を奪うためのFWのスキルが、さらに進化しつつある。元日本代表の福田正博氏がふたりのFWの活躍から、FWがゴールを決めるための極意を考察した。

今季J1に復帰した大分の攻撃を引っ張る藤本 大分の攻撃の中心である藤本は、4年前の2015年はJFLでアマチュアとしてプレーしていたが、2016年にJ3の鹿児島ユナイテッドでプロになると、2016年、2017年とJ3で得点王。昨年からJ2大分に移籍してJ1昇格に貢献し、今季は鹿島との開幕戦での2ゴールなど、2、3月度の月間MVPを獲得した。

 鹿島の伊藤翔は中京大中京高時代から注目され、高校卒業後にフランスのグルノーブルに入団。しかし、出場機会をなかなか得られず、2010年からはJリーグへ。4シーズンを清水エスパルスで過ごし、2014年からは横浜F・マリノスでプレーしたが、スタメンで出たり、途中出場したりの繰り返しで、なかなかFWの軸には定着できなかった。

 そのふたりが、今季のJ1でゴールを決めている理由のひとつは、プレーがシンプルなことだ。

 FWは、ゴールを決めたい気持ちが先走って、ボールを持ちすぎたり、切り返しやドリブルが多すぎたり、ということがよくある。もちろん、そうしたプレーでゴールが決まることもあるが、プロの世界でゴール数を稼ぐとなると、そうしたプレーは確率が低いのだ。

 得点を奪うためにFWが心がけるべきこと、それは、オフザボールの駆け引きとポジショニング、そしてゴール前でのシュートスキル。戦況を見ながら、味方がボールをどう運ぶのか、どこにパスを出してくるのかを見極めて、ゴール前での一瞬の抜け出しでDFよりも先にボールに触ってシュートを打つ。これができればゴール数が増えていく。

 藤本はショートカウンターにしろ、ロングカウンターにしろ、味方がボールを奪ったら、相手陣のペナルティエリアに入り込むのがうまい。相手DFの死角で、味方からボールが出やすい場所に一気に入り込む。そして、パスが来たら落ち着いて決めている。

 伊藤翔の場合、清水や横浜FM時代は、すべてのことをやろうと、頑張りすぎていたように見えた。守備では前線から積極的にプレスに行き、攻撃ではポストプレーもサイドに流れることも、ゴール前に走り込むこともやる。それでは90分間はもたないし、消耗していてはFWとして最も重要な仕事である決定機をものにすることは難しくなる。

 今季は、鹿島に移籍したことで、守備面の負担が減っている印象だ。それは、鹿島がDFラインと中盤でしっかり守れる守備力を持っているからこそ。そして、ゴール前に攻め込んだときは、チームメイトからのパスをゴールに流し込むことに集中できている。