ACLグループリーグ突破へ首の皮一枚。川崎Fには発想の転換が必要だ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ところが、MF中村憲剛から大島への何でもないパスでミスが起こり、相手にカウンターを許したところからCKを与え、そのCKから、18分に同点ゴールを許してしまう。

 そして、蔚山が4-1-4-1から4-4-2へとフォーメーションを変えたことで、「(蔚山が)人に対して、はっきり(プレッシャーをかけに)来るようになり、圧力をかいくぐれない時間が増えた」(大島)という川崎は、ボールを保持していても攻めあぐむ場面が増えた。

 すると、前半31分、川崎は中盤で失ったボールを易々と前に運ばれ、あっさりと逆転ゴールを喫してしまう。いずれのゴールも、あまりに"安い失点"と言わざるを得ない。

 その後、川崎はFW知念慶、レアンドロ・ダミアンを相次いで投入し、何とか同点に追いつくことはできた。鬼木監督は「2点目を取ったあとも、前向きに3点目を取りに行った姿勢を次につなげたい」と言い、中村もまた、「ホームで勝ち点1はよくないが、追いついて負けなかったことを次につなげなければいけない」と、試合を振り返った。

 だが、そもそも3点目を取りにいかなければいけなくなったのは、2点を失ったから。つまりは、自分たちでまいた種である。

 川崎の順位は、グループ3位のまま。決勝トーナメント進出のためには、2位以内に入らなければならず、残り2試合に自力突破の可能性が残っているとはいえ、苦しい状況が依然として続いている。

 大島は「(ACLで対戦するチームの)体の大きさ、強さ、速さは、なかなかJリーグにはない」と、アジア勢と戦うことの難しさに触れつつも、こう語る。

「(追いついたとはいえ)勝てなかったし、立て続けに失点する脆さとか、まだまだ甘さがある」

 確かに、今季ここまでの川崎の戦いを振り返ると、「失点する脆さ」がひとつのキーポイントになっている。

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