リージョ神戸は難解なサッカー回路に挑む。
「しょうがない」は禁句 (2ページ目)
一方でリージョ監督は、伊野波雅彦(横浜FC)、高橋峻希(柏レイソル)、藤田直之(セレッソ大阪)という放出した選手たちを、高く評価していた。それだけに、必ずしも戦力アップにはつながらない部分もあるだろう。戦術にアジャストさせるには、それなりの時間を要する。CBに関しても、リージョ本人がコンタクトしていたのは、ウルグアイ代表マルティン・カセレス(ラツィオからユベントスへ移籍)だった。
リージョの求めるサッカーは、特殊性を含んでいる。それだけに、経歴豊富な選手が来たからといって、必ずしもプラスアルファに直結しない。
「4バック? 3バック? 日本人はすぐにそうやってサッカーを捉えたがる。試合の中で、人やポジションが入れ替わることができなければ、話にならない」
リージョはそう明言している。
実際、アメリカ遠征でシステム上は3-4-3でスタートするも、4-3-3、4-2-3-1も試してきた。しかも、どれもスタートポジションの話で、システムの並びは曖昧なもの。たとえば3バックも、他のチームが採用している5バックの守備陣形ではない。
リージョの場合、センターバックがサイドバックのような位置をとって、ワイドの選手はウィングのように押し出す。ただ、その説明さえも局面の中では流動的になるだけに、本質からずれてしまう。
リージョ神戸は、極めて難解なサッカー回路に挑んでいる。それは監督自身のキャラクターとも似ているだろう。昨今の戦術ブームのように"脆弱"な代物ではない。
「日本に来て『しょうがない』という言葉を知った。それはひとつの考え方だろう。しかし少なくとも90分の世界で、私はそれを受け入れられない」
2 / 3