たとえ優勝しても昇格できない。J2町田の現状を欧州と比べてみた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 前からプレスをはめ込み、出どころを塞ぐ。そこからのショートカウンターとセットプレーを武器に、戦局を有利に展開。MF森村昂太の左足はアクセントになっており、MF平戸太貴はエリア内での技術に恵まれている。サイドでタッチラインまで幅を取り、内側をコンビネーションで崩してチャンスメイクする形は、チームトレーニングの賜だろう。

 この日の千葉戦も、サイドで鮮やかに起点を作っていた。前半終了間際、2トップの一角の中島裕希が右サイドへ流れる。右サイドバックの大谷尚樹との連係でテンポを作り、その内側をゴールラインまで森本が走り込み、ヒールで落とす。走り込んだ大谷がそれを拾ってエリア内に侵入。つっかけたボールを、エリア内で受けた平戸が冷静にシュートを突き刺した。

 サイドを崩すコンビネーションは、J1でも通用するレベルにある。

 それにしても、レギュレーションは尊重されるべきだが、同じ国内の大会で、収容人数や練習場の問題によって選手が不利益を被るべきなのか?
 
 たとえば、世界最高峰リーガ・エスパニョーラでは、スタジアムや練習場についての条件はないに等しい。絶対的な実力主義。今シーズン、クラブ史上初の1部昇格を決めたウエスカのスタジアム収容人数は、わずか5000人である。

 天然芝のグラウンドもJリーグでは必須条件になるが、昨季まで乾貴士(ベティス)が所属していたエイバルには人工芝の練習場しかない。隣町にある天然芝のグラウンドまで、1時間近くかけてバス移動している。ちなみに本拠地のイプルアスタジアムは最近になって増築で7000席になったが、1部に昇格するまでは5000席だった。

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