超攻撃的マリノスはウナイ・エメリ流。「負けて学ぶところもある」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 システムは4-1-4-1とも4-3-3とも言えるが、アンカーを置いている点が特徴だろう。ただ、これはあくまで基本陣形で、攻めに入るとき(ボールを持ったとき)には、両サイドバックがMFのラインまで上がり、インサイドに寄る。2-3-4-1にも見える布陣で、後ろは2バックが幅を大きくとり、苦しくなったらGKも使ってボールを回し、極力、アンカーはバックラインに落ちないようにする。

 この戦い方は、ウナイ・エメリ(現パリ・サンジェルマン監督)が発案したと言われるプレス回避方法で、センターバックをゴールから離すことで相手のプレスも引き延ばす。万が一、もつれてボールを奪われそうになっても、ゴールから遠いぶん、若干の猶予がある。なにより、サイドバックが前にポジションをとって中盤に人を増やすことで、ポゼッション力を上げる狙いだ。

 一方の柏はこの日、4-3-1-2のような形で中盤の中央に人を増やし、このポゼッションに対抗した。だがむしろ、インサイドに入る横浜FMのサイドバックに(スペースの)ギャップを使われることになった。そこでボールを前から奪おうとするも、センターバックに蓋をした途端、GKを使われ、プレスを回避されてまたつながれてしまう。

「後ろからのビルドアップは問題なくできていた。プレッシャーも感じなかった」(横浜FM・GK飯倉大樹)

 前半、横浜FMのポゼッションは65%。サイドを起点に攻め立てた。とりわけ、ユン・イルロク、山中亮輔が組んだ左サイドは圧力があった。

 ところが、前半40分を過ぎたあたりで、目に見えて"失速"する。横浜FMはミスから後手に回ることが多くなった。そして後半に入った49分、プレー強度を上げた柏の伊東純也に、山中、イルロクがたて続けボールを奪い返され、小泉慶の侵入を防ぎきれずに先制点を奪われた。

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