ジェフ千葉、敗北の中で膨らむ期待。
来季のJ1昇格がハッキリ見えた (3ページ目)
このゴールは本来、生まれるはずのないものだった。近藤のクリアが田口の右腕に当たった時点で、ハンドの反則が適用されるべきだったからだ。それをレフェリーが視認できなかったことは、千葉にとっては不運と言うしかない。
しかし、これをきっかけに、それまでの弾けるような勢いが急速に弱まってしまったのは、同点ゴールが釈然としない判定によって生まれたからだけではないだろう。佐藤勇は語る。
「前半のあの(終了間際という絶好の)時間帯で1-0になって、リーグ戦なら3ポイント(勝ち点3=勝利)が取れていた試合だったと思う。でも、ちょっとしたことで追いつかれて、一気に『引き分けではダメなんだ』(引き分けの場合、リーグ戦上位の名古屋が決勝進出となる)という雰囲気になってしまった」
失点はアンラッキーなものだった。それまでの試合内容も、指揮官が言うように「悪くはなかった」。1-1のまま粘れれば、まだ試合はどう転ぶかわからなかった。
だが、いつもどおりのプレーができていなかったチームは、失点が引き金となってうろたえた。
生命線であるはずのプレスはハマらず、空回り。攻撃も大味になる一方で、ゴールの匂いは漂わない。黄色のユニフォームを身にまとう選手たちが、焦燥に駆られてプレーしているのは明らかだった。
千葉は、66分にGK佐藤優也のミスから勝ち越しゴールを許すと、守備の要である近藤を前線に上げてパワープレーで勝負に出た86分、逆にDFラインの裏を取られて追加点を奪われる悪循環に陥った。
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