理想のミシャ&現実の堀。
浦和レッズのアジア制覇は指揮官2人の合作 (3ページ目)
退場でひとり少ないなか、バランスを崩してでも攻めてくる相手を浦和は余裕を持っていなし、88分、一瞬の隙を突いたMFラファエル・シルバが豪快に決勝ゴールを奪取。まさにシナリオどおりの展開で、浦和がアル・ヒラルを一蹴した。
振り返れば、今大会の浦和は「二面性を備えたチーム」だった。ペトロヴィッチ前監督が率いたラウンド16までは、圧倒的な攻撃力を武器に、まるで殴り合いのような展開で難敵を次々に撃破した。一方で、堀孝史監督が率いた準々決勝以降は、辛抱強く耐えしのぎ、泥臭く勝利を手に入れた。とりわけ準決勝、決勝は、いかに隙を見せないかがテーマとなっていた。
「チームとして、割り切ってやっていた」と、DF遠藤航は振り返る。
「(興梠)慎三さんとかは物足りなさを感じているだろうし、今は距離感も遠くなっているので、ミシャ(ペトロヴィッチ監督)のときのほうがいい攻撃ができていた。ただ、監督の要求に対して選手がそれを表現できるか。そこが今大会ではうまくいったと思う」
遠藤がそう指摘するように、とりわけ攻撃陣にとっては厳しい戦いだったかもしれない。多くの時間帯で守備に追われ、攻撃時には前線で孤立してしまうサッカーは、決して楽しいものではないだろう。
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