呪われているのか、フロンターレ。はかなく夢は散り、8度目の準優勝 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 パススタイルが確立している分、他の攻め手を備えていない。サッカーは相手があるスポーツである。相手の出方によって違った方法論を示すことも求められる。ましてや、専守防衛に割り切った相手である。同じことを繰り返すだけでは、ゴールを奪うことは難しかった。

 それでも終盤にパワープレーを仕掛けたが、そもそもそうした引き出しがないだけに精度が足りず、むしろC大阪の守備を楽にしただけだった。終了間際にはカウンターから2点目を奪われ、万事休す。川崎Fの夢は、はかなく散った。

 ポゼッションでもシュート数でも大きく上回りながら、スコアは0−2の完敗。採点や判定のない、ゴールがすべてを物語るサッカーというスポーツの揺らぐことのない真理が残酷な現実を浮かび上がらせた。

 C大阪の選手がカップを掲げる檀上の光景を、中村はどのような思いで見つめていたのだろうか。シルバーコレクターのレッテルは、チームだけでなく、中村にもまとわりつくものだ。

 それでも中村には、まだチャンスが残されている。残り3試合となったリーグ戦で、川崎Fは首位の鹿島に勝ち点4差の2位につけている(第31節終了時点)。たしかに状況は厳しいが、決して逆転が不可能というわけでもない。

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