川崎Fのすさまじい攻撃。「4バックを捨てた」鹿島の動揺を見逃さず (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

"たられば"を言えば、鹿島が前半終了間際にシステム変更しなければ、結果はわからなかったという見方もできる。だが、前半の状況や展開のままでは持ち堪えられない、勝機を見出せないと感じられるほど、川崎Fの攻撃が鹿島を圧倒していたということである。中村が言う。

「正直、鹿島が4(バック)を捨てるとは思っていなかった。それくらい鹿島の4は自分のなかでも特別だし、それを変えてくるほど(相手は)前半の戦い方がよくなかったということ。その時点で相手はやり慣れていないわけですし、先手を取ったなと思いました。

 さらに、向こうが立て直して仕切り直す前に追加点を奪えたのが大きかった。前半から人もボールも動いて相手に的を絞らせなかった。前半はそこまで得点が入らなかったですけど、相手に(システム変更させるくらい)そう思わせたというところが大きかった」

 この勝利により鹿島との勝ち点差は4に縮まった。「タイトルが決まる試合ではないですけど、ここで縮めるのと落とすのでは全然違う」と中村は言葉を続けた。ただし、試合終盤の87分に許した失点を選手たちが口々に悔やんだように、今の川崎には現状に満足しない厳しさがある。ふたたび中村が言う。

「したたかで強い相手に(ホーム&アウェーともに)ダブルで勝てたというのは自信になりますけど、ここで一喜一憂してもしょうがない。これを毎試合やっていかなければならない」

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