J3転落で地獄を見た大分トリニータが、V字回復に向かっている理由 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 世界的に見れば、この発想は決して珍しいものではない。だが、日本にポゼッションサッカーを標榜するチームは数多くあれど、(緊急事態限定の危機回避ではなく)能動的にGKがビルドアップに加わるチームは、それほど多くない。J1を見ても、日本代表のGK西川周作を擁する浦和レッズくらいのものだろう。

 大役を担う、当のGK上福元直人は、「今日のような(プレッシャーが速い)相手でもボールを動かすところで先手を取れれば、もしボールを失ってもすぐに(奪い返す)対応ができる」と、ポゼッションの効果を口にし、試合ごとに高まる手応えについて語る。

「選手同士の共通理解が上がり、(パスの)受け手の動きの質も上がっているので(GKがボールを受ける)怖さもなく、やりやすくなっている。これを(前半だけでなく)90分間できるようになるといい。簡単ではないが、みんなでトライしようとしている。自分自身、足もとのプレーが得意だったわけではないが、カタさん(片野坂監督)のサッカーをやるなかで、(自分たちがやっていることが)間違っていないと思えるようになった」

 とはいえ、現段階で大分の総得点数は10点にすぎず、高まるボールポゼッション率が得点力アップに直結しているとは言い難い。片野坂監督も「追加点のチャンスを決められるかどうかが、自分たちの戦いがもっとできるようになるかどうかにつながる」と認め、課題を口にする。

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