美しくないサッカーでも勝つ。浦和ペトロヴィッチ監督が決断した瞬間 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 前節にベガルタ仙台相手に7ゴールを奪うなど、今季の浦和は第6節を終えてリーグ断トツの20ゴールを記録していた。「今季はキャンプから攻撃的に行こうということで取り組んできた」とDF槙野智章が言うように、ここまでは狙いどおりのサッカーができていたと言えるだろう。

 一方、6試合で7失点の守備は決して安定感があるわけではない。とはいえ攻撃的に行けば、当然後ろが手薄になるわけで、カウンターから失点を浴びる機会が増えるのは、ある意味で致し方ないものだった。

 この日も浦和には、攻撃の意識自体は高かった。3-4-2-1の基本布陣はあってないようなもので、ボールを持てば槙野とDF森脇良太の左右のセンターバック(CB)がリスクを冒して高い位置に顔を出す。後方でビルドアップを担うのは、中央のCBであるDF遠藤航と、柏木、MF阿部勇樹の2ボランチを含めた3枚回し。一見、リスキーではあるものの、キープ力とパスセンスに優れた3人だからこそ成り立つ戦術だ。

 もっとも奪われた際には、槙野と森脇が長い距離を走って戻らねばならず、一発のフィードでピンチを招くリスクも小さくない。危うさを漂わせていたのはそのためだが、ある意味でその状況は想定内。問題だったのは、リスクを冒したにもかかわらず、背後を固めるFC東京の守備を崩し切れなかった攻撃面にあったと言える。

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