決め切るFWと守り切るGK。青森山田を初優勝に導いた2人のヒーロー

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 観衆の度肝を抜くスーパーゴールが生まれたのは、57分のことだった――。

 GK廣末陸(3年)からの弾丸のようなパントキックを収めたFW鳴海彰人(3年)は、そのボールを右サイドのMF嵯峨理久(さが・りく/3年)に展開。そのままゴール前に走り込むと、嵯峨のクロスを胸でトラップし、落ち際を倒れ込みながらダイレクトでインパクト。青森山田(青森県)の勝利を決定づける3点目を奪った。

青森山田を牽引したGK廣末陸は卒業後、FC東京に入団する青森山田を牽引したGK廣末陸は卒業後、FC東京に入団する さらに2分後には、ふたたび廣末のロングキックが起点となり、またしても鳴海がネットを揺らす。この電光石火の2ゴールが、前橋育英(群馬県)を奈落の底へと突き落とした。

 青森山田に悲願の日本一をもたらしたのは、「攻」と「守」のふたりのヒーローだった。「攻」の主役となった鳴海は、この2得点で通算6ゴールとし、大会得点王を獲得。インターハイでも7ゴールを奪い得点王に輝いており、まぎれもなく今年度の高校サッカーにおける最高のストライカーの称号を得た。

 この日決めた2得点は、いずれも点獲り屋としての能力の高さが感じられる見事なものだったが、とりわけ巧みなトラップからフィニッシュに持ち込んだひとつ目のゴールは、とても高校生とは思えないもの。確かな技術と並外れた身体能力の高さがもたらした、圧巻の一撃だった。

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