【恩田社長の600日】FC岐阜が目指す『育成型クラブ』への道 (3ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi


 2014年のアウェーでのコンサドーレ札幌戦、試合のプログラムのコンサドーレ選手一覧を見てビックリしました。実に半数近くの選手が、コンサドーレユースもしくは北海道出身なのです。これならサポーターは自分たちのチームと強く意識します。そのコンサドーレは、チーム名に北海道を追加して、北海道全体を背負い、今シーズンJ2の首位を快走しています。2004年に育成型クラブを目指すことに舵を切り、10年単位の月日をかけての成果だと思います。素晴らしい成果です。

 このように普及・育成部門は、企業にとっての、いつ花開くかわからない投資部門のようなものです。しかし、企業が100年構想の視点に立ち、中長期的な繁栄を考えるのであれば、間違いなく必要不可欠な投資です。同様に『FC岐阜』の未来を考えるのであれば、育成に力を入れるべきであると思います。地元出身のスター選手をクラブ自前で生み出すことが、クラブの選手編成の経済的負担の緩和のためにも、地元からの応援熱を高めるためにも、遠いようで一番の近道だと私は考えます。

 そのために、私は社長就任2年目のシーズンを迎えるにあたり、京都サンガで長年普及・育成部門に関わり、その礎を作り上げた実績を持ち、トップチームのスカウティング経験もある、高本詞史(たかもと・のりふみ)氏をチーム統括部長に招聘しました。私が彼に求めたのは、普及→育成→トップチームにつなげる一本の太い流れでした。私は志半ばにFC岐阜を後にしましたが、この流れが実現する日を楽しみにしながら、普及・育成部門を見守りたいと思います。

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