満員の観客と笑顔と自信。フロンターレが手にした2位以上の「財産」

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 過去最多となる2万6612人が来場した等々力陸上競技場は、最高の空間だった。

 J1ファーストステージ最終節、川崎フロンターレは大宮アルディージャと対戦。スタンドには最高の笑顔と最高の歓声があって、ピッチには極上のエンターテインメントだけでなく、勝利という最高の結果もあった。

 足りなかったのは、"優勝"という結末だけ。わずか勝ち点1の差で、川崎はファーストステージのタイトルを鹿島アントラーズに譲ることになった。

 もっとも試合後の選手たちには、落胆もなければ、悲観もなかった。あったのは、セカンドステージを戦ううえでの確かな自信と、糧となる悔しさだ。

ステージ優勝は逃したが、川崎フロンターレの選手たちは充実した表情を見せていたステージ優勝は逃したが、川崎フロンターレの選手たちは充実した表情を見せていた「終わった瞬間は、『ああ、ダメだったか』『鹿島、負けなかったか』って思いましたけど、最後の円陣はいつもどおり勝利を祝って、みんなが『1年を通して見よう!』って言っていた。すぐにみんな、気持ちを切り替えて、ひとつの方向を向きました」

 そう振り返ったのは、この日も攻守において安定したパフォーマンスを披露したMF大島僚太だ。

 普段は苦言を呈すことの多いFW大久保嘉人も、力強く言った。

「ファースト(ステージのタイトル)は獲れなかったけど、『年間優勝に切り替えよう』ってみんなも言っていたし、(勝ち点38というのは)すごくいいと思いますよ。すぐにセカンドステージも始まるし、この流れを断ち切らないようにやっていきたいですね」

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