天皇杯決勝で小笠原が示した、鹿島に受け継がれる「常勝の精神」 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 3週間ほど前のことだ。浦和レッズとのチャンピオンシップを戦い終え、クラブワールドカップを戦うために移動した横浜で、小笠原は「途切らせないことの重要性」についてこのように語っていた。

「タイトルを積み重ねるから強くなれるわけで、これからどんどん勝っていければ、ものすごく強いチームになる。かつて三冠を獲ったり、リーグ三連覇もしたけど、このチームはそういうサイクルで強くなってきた。今も、そこに向かう第一歩を踏み出せたわけで、このあと勝てなくなったら、また一から振り出しになるし、そういう経験を積んだ選手も少なくなってしまう。タイトルを取り続けることで大事なものが繋がっていくから、大事なのはここから。これで満足して勝てなくなったら、何の意味もない」

 その点で、天皇杯を制して手に入れた19個目のタイトルの価値は、18個目のタイトルとなったチャンピオンシップで得た自信を、より確かなものにしてすぐに二歩目を踏み出せたことにある。

 鹿島が無冠に終わったのは、若返りを図った13年、14年シーズンの2年間だけ。15年シーズンにナビスコカップで優勝し、16年シーズンでチャンピオンシップと天皇杯を勝ち取り、クラブワールドカップで決勝に進んだ今、遠藤や西、柴崎岳は風格を漂わせ、昌子や土居聖真、植田は立派な主軸となっている。

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