来季のためにも天皇杯を。無冠の浦和・ペトロビッチ監督が燃やす執念 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 たしかに今季の浦和は内容的に見て、いいサッカーをしていた。もちろんシーズン中には出来不出来もあるが、総体的に見れば、J1トップレベルにあったのは間違いない。

 この日の試合でも、値千金の決勝ゴールを決めたFW李忠成が「あそこ(チャンスを作るところ)までは行っていたので、フィニッシュのところを自分が丁寧に仕事すれば点が入るかなと思っていた。その通りにできた」と振り返ったように、浦和はボール支配率でも、決定機の数でも柏を上回っていた。

 柏が本来志向しているはずのポゼッション重視の4-3-3を捨て、5バックでの浦和封じに徹するしかなかったことを思えば、浦和のほうがずっと内容のあるサッカーをしていた。

「今日の柏のように、自分たちのスタイルを捨てて勝ちを取りたいとは思わない」

 そんなペトロビッチ監督の言葉には説得力があった。

 だが、最近4シーズンで3度のJ1制覇を遂げている広島や、昨季三冠のガンバと比べたらどうか。それでもなお、浦和のサッカーが内容的に優れているかは疑わしい。

 また、ペトロビッチ監督はチェルシーなどの世界的ビッグクラブを引き合いに出し、「私はピッチ上で自分のチームを作っていくタイプの監督。お金で選手をかき集めるタイプではない」とも話していたが、その点においては広島やガンバも大差はない。

 むしろ、毎年のように浦和が主力を引き抜いている広島に、成績面で及ばないのでは理屈が通らない。試合内容はいいのだから勝てなくても評価してくれ、では無理があるというものだ。

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