ポジション失ったカシージャス。GKは「異質」な存在か? (3ページ目)
しかしながら、GKは“異質な存在”では断じてない。
カメルーン代表GKとしてW杯4大会に参加しているジャック・ソンゴオは、味方がゴールを決めると、必ずゴールの祝福の輪に加わることで有名だったが、その彼がこんな話を洩らしていた。
「俺たちゴールキーパーには孤独な部分がある。チームが勝つため、ひたすらゴールを守るしかない。後ろからうるさいことも言うさ。それが仕事だから。でも、みんなそれぞれ役割を果たすために必死になっている。だから俺は得点が決まったら全力で祝う。それはチームの思いが実った瞬間だからね」
じゅういちぶんのいちとして戦いに挑めているか。
GKはそれを自らにまず厳しく問いかけ、同時に味方にも求める。手を使えるという特権を得ている彼らは、フィールドプレイヤーよりも濃厚に使命を感じている。だからこそ、周りから見れば魔物を宿しているようにさえ映るのだろう。しかし彼らほど、チームのために身を挺して戦う男はいない。
だからこそ彼らは魔物ではなく、“守護神”と崇められるのだ。
※この原稿は、ジャンプSQにて小宮良之氏が連載しているコラム『1/11の風景』に加筆修正を施したものです。
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