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【高校サッカー選手権】4強対決。
覚醒した京都橘・小屋松知哉に注目せよ (2ページ目)

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 中村祐介/アフロスポーツ●撮影

 後半5分、相手に激しくマークされる中で強引な突破を図り、屈強な敵DFと競り合いながらも、瞬時に左足を振り抜いてファインゴールを決めた。小屋松のストライカーとしての"魂"を感じさせるゴールだった。

 そして後半26分には、今シーズンのテーマとしていた「周りを使ったプレイ」でゴールを決めた。味方にボールをはたくと、素早く敵DFの裏をつき、味方からの折り返しのパスを受けて、冷静にゴールに流し込んだ。

 自らの2ゴールで優勝候補を2-0で振り切った小屋松。パワフルなドリブル、精度の高いシュート、周りとの連係と、披露したパフォーマンスはハイレベルだった。この調子を持続していけば、2大会連続の得点王、そして念願の優勝にチームを導くことも夢ではない。

 絶好調の小屋松擁する京都橘に挑むのは、こちらも2大会連続で国立に駒を進めてきた星稜。洗練されたポゼッションサッカーで勝ち上がり、パスとドリブルで相手の守備ブロックを効果的に崩していく攻撃が売りだ。

 ただ、初戦(2回戦)の一条(奈良県)戦(5-0)こそ大量点を奪って爆発したものの、3回戦の玉野光南(岡山県)戦(0-0PK5-4)と準々決勝の修徳(東京都A)戦(0-0PK3-0)は、1点も奪えずにPK戦まで突入。ここまで無失点という守備は評価できるものの、決定力の低下は不安材料となる。というのも、ボールを保持して攻め続けていた市立船橋も、得点を奪えずに、一瞬の隙を突かれて京都橘に敗れたからだ。

 さらに京都橘は、市立船橋戦で「自分たちの距離間を意識した」(FW宮吉悠太/3年)という、コンパクトな陣形で対応。ボールを回してくる相手に対する守り方を心得た感がある。安易な攻めを仕掛けると、逆に高い位置でボールを奪われて、鋭いショートカウンターの餌食になる恐れがある。

 そうなると、星稜の頼みの綱は守備力。3試合無失点という守りに重きを置くことで、勝機が見えてくるのではないか。特にPK戦までもつれれば、優位だ。京都橘にも前回大会で優秀選手に選ばれたGK永井建成(3年)がいるが、星稜には準々決勝のPK戦で3本ストップしたGK近藤大河(3年)がいる。キッカーも、過去2試合のPK戦ではすべて成功し、絶対的な自信を持っているのは心強い。

 ともあれ、京都橘の絶対的エース・小屋松を、星稜の固い守備陣がどう抑えるか。それが、この試合の見どころとなりそうだ。

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