レッズ、7年ぶりの栄冠へ。原口元気に託された「任務」

  • 小齋秀樹●文 text by Kosai Hideki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

2013年Jリーグ
頂点争う「3強」のキーマン(3)
浦和レッズ編

 2009年にプロ入りしてから、開幕戦には常に出場し続けてきた原口元気。これまでの4シーズンは、チームも原口自身も、開幕戦で結果を出せなかったが、5年目の今季、浦和レッズは前年王者のサンフレッチェ広島を2-1で下し、原口も1ゴール1アシストという結果を残した。

FW興梠慎三と並んでチーム最多の10ゴールをマークしている原口元気。FW興梠慎三と並んでチーム最多の10ゴールをマークしている原口元気。 最高のスタートを切った原口は、過去の彼とは明らかに違った。その後も順調にゴールを積み重ね、第29節の鹿島アントラーズ戦では、プロ5年目にしてリーグ戦初のふた桁得点を記録した。

 そしてその得点は、初のふた桁ということ以上に、原口にとって大きな意味のあるゴールだった。左サイドからのカットイン後、右足でGKのニアサイドを抜いた"ドリブルシュート"で決めたものだったからだ。

 多くのサッカーファンが抱く、原口元気のイメージは「ドリブラー」というものだろう。

 むろん、間違いではない。ただし、より正確に言えば、彼は「ドリブル突破から自身でシュートまで決めてしまう」プレイヤーだった。ゆえに、ジュニアユースのときは飛び級でユース入りを果たし、日本人ではクラブ史上最年少(17歳8カ月)の若さでプロ契約をかわした。

 しかしプロになって以降、シュートがひとつの壁になっていた。ドリブルはプロでも通用し、シュートまで至ることはできたが、そのシュートがなかなか得点につながらなかった。敵DFにブロックされ、あるいは、GKにセーブされた。「やっぱり、プロは違う」と、原口は悔しがった。

 だからこそ、彼は練習後、体幹を鍛えるトレーニングにも取り組むようになった。そして、数年にわたって継続することで、強さを身につけた。今や、ブレない身体の軸ができて、シュートのパワーも正確性も増した。

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