2012.10.20

【日本代表】「捨てパス」には理由がある。
ボランチ遠藤のゲームをコントロールする能力

ザックジャパンの舵取り役、遠藤保仁 photo by Fujita Masato
福田正博 フォーメーション進化論 vol.28

 ザックジャパンでは現在、遠藤保仁がボランチのレギュラーだが、代表チームでもクラブチームでも、このボランチというポジションは、ここにどんなタイプの選手を起用するかで、監督の色がもっとも出るところだ。中盤の中央でチームの「へそ」となるポジションであるここの選手がキープレイヤーであることは間違いない。

 性格的には、やはり落ち着いていて浮き沈みがなく、いつもコンスタントに力を発揮できる選手が求められる。遠藤もピルロもシャビもそうだが、このポジションの選手はあまり感情を表情に出さない。

 彼らに共通しているのは、プレッシャーがかかっても慌てず、冷静に戦況を分析できて、キックの精度が高いということ。ちょっと前の、いわゆる「潰し屋」といったイメージのボランチは世界のトップチームには少なくなってきている。

 現在の日本代表の攻撃の組み立てということを考えてみても、ボールは必ずといっていいほど、ボランチの遠藤を経由する。全体を見てチームのリズムを決めていく選手なので、当然、相手はここをつぶしにくる。W杯予選のウズベキスタン戦、イラク戦のように、遠藤を抑えにくる相手が、今後も出てくるはずだ。

 それにどう対応するのか。マンマークがついた時に、サイドや前線へのポジションチェンジでマークしてきた相手が判断に迷う状況を作り出す、あるいはピッタリつかれていても受けて、すぐにはたいてもう一度動き直して広い視野を確保できるようにする。

 すぐに味方にはたくことは、意味のない「捨てパス」とでも表現したくなるパスに見えるかもしれないが、これは無駄なように見えて、実は自分の体勢を立て直すためと、前線の味方が動き直すための一拍おくためのパスであり、この繰り返しで状況を打開していく。