ワールドカップ優勝まで20年 JFA名誉会長・田嶋幸三「育成をビジネスとして成立させないと勝てない」 (4ページ目)
――ただ、現状ではそうした基盤になる単独クラブを持つのは難しい。選手が移籍してしまいますから。欧州各地でプレーしている選手たちを集めてプレーするわけですが、その時に基盤となるものが必要です。強豪を倒しうる力はついた。しかし、その先にどう進化させていくか。個々の選手のレベルアップというのはあるとして、次の段階のチームがどういうサッカーをするのかのイメージがはっきりしていない気がするのですが。
田嶋 難しいですね。ただ、日本人の良さをなくしてはダメでしょうね。個の強さを高めるとともに、連係の良さも高めていく。「ファウルしてでも」という文化は日本に合わないですし、日本の良さを大事にしてほしいですね。
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W杯で強豪との対戦を想定すると、ボールを持たれる展開が予想される。一方、北中米W杯で日本が唯一勝利したチュニジア戦は、ボールを保持しての4-0だった。保持するのか、されるのか。これはひとつのバロメーターではあるかもしれない。
しかし、チュニジアに勝てたのはボールを保持できたからというより、単にそれだけの実力差があったとみるべきだろう。日本が保持局面をそれほど得意としていないのは、直近2回のアジアカップに優勝できていないことにも表れている。アジアの強豪として振る舞い、ボールも保持できたが、前々回は決勝でカタールに敗れ、前回は準々決勝でイランに敗れている。
2022年カタールW杯では相手に保持されながらドイツ、スペインに勝利した事実もある。仮に保持を軸にした場合、強豪国、とりわけスペインに保持で上回れるかという問題も生じる。優勝する日本代表とはどんなプレーをするのか、これを明確にイメージするのは簡単ではないわけだ。
個のスケールアップという課題は明確にあるが、それが達成されてもチームとしてどうプレーするかに関してのイメージができていないのが現状だと思う。20年先、そのイメージを持てているかが、目標を実現できるかどうかを左右するのではないか。
田嶋幸三
たしま・こうぞう/1957年11月21日生まれ。熊本県出身。浦和南高校で高校サッカー選手権優勝。その後筑波大学、古河電工(現ジェフユナイテッド千葉)と進み、日本代表でもプレーした(Aマッチ7試合出場1得点)。1982年に引退後は西ドイツへコーチ留学。帰国後は指導者養成などに尽力し、2001年にU-17日本代表監督、2002年にはJFA技術委員長に就任。選手育成やJFAアカデミー福島の創設にも携わった。2016年から2024年までJFA会長を務め、現在はJFA名誉会長。2011年からアジアサッカー連盟(AFC)の理事、2015年から国際サッカー連盟(FIFA)理事(2016年からはカウンシルメンバー)を務める。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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