【ワールドカップ】鎌田大地と中村敬斗の個性を伸ばした育成論 「100%がマックスじゃない。120、130%の選手になればいい」 (3ページ目)
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トップに行ける選手の資質とは?】
── キャラクターの部分はどうですか。
「とにかく純粋で、本当にいい子だなと思います。ものすごく素直だし、人の意見をよく聞いてくれます」
── 鎌田選手のように主張することはあまりなかったのですか。
「自分の考えは持っていましたし、よく話はしましたよ。プレーのことだったり、将来のこともそう。大地と同じようにいろんなことを話しました。
大地にも敬斗にもそうですけど、『お前らは絶対に上に行ける』と、いつも言っていましたね。根拠はなかったですけど、お前らは絶対いけるからって。まだ18、19歳の選手でしたけど、その時からそう思わせる選手でした」
── ほかにそのように感じた選手はいますか。
「能力の部分では、ほかの選手とそれほど大差があるわけじゃないんです。でも、やっぱり上に行ける選手というのは、状況の捉え方だったり、目標から逆算してどうやって振る舞うかを理解しているものです。今、何をすべきかを考えて、実践できる。そこの力の差だけだと思います。
サッカーは常に状況が変わるじゃないですか。彼らはその状況の捉え方が、とても前向きなんです。そこがトップに行ける選手の資質なんだと、個人的には思っています」
── ふたりは性格的に真逆な感じですけど、芯の部分が似ているのでしょうか。
「似ていると思いますよ。今は敬斗も大地に可愛がってもらっているみたいですし。ファーストコンタクトの時はだいぶ素っ気なかったらしいですけどね(笑)。でも、ふたりとも考え方の部分で通じるところがあるだろうし、ワールドカップでも自分のスタイルで主力としてプレーして、結果も出した。また目線が上がったと思うので、今後がさらに楽しみですね」
── 若手を指導するうえで、森下さんはどういったことを一番意識していますか。
「僕が見させてもらっている選手は、基本的にはプロまで上がってきている選手なので、間違いなくよさがある。まずはそこを逃さないようにしています。いいところを捨てずに、この世界でより太く長く生きていけるようにしていくのが、僕の役割だと思っています。
先ほども言いましたが、まだまだスタートラインに立ってない選手たちですから。マイナスの位置にいる選手を、まずはゼロのところに引き上げていく。プレーもそうだし、メンタル的な部分もそう。
そのためには、自分の武器を磨いていくことが重要なんです。ダメなところに目を向けず、いいところをさらに引き出してあげる。だから僕は、『ここがダメだ』とは絶対に言わないようにしています」
── 自信をさらに失ってしまいますからね。
「得意なことが7割、苦手なことが3割あったら、その3割を改善するのではなく、得意な部分を8割にも9割にも増やしてあげたい。100%がマックスじゃないんですよ。120%、130%の選手になればいいわけですから」
(おわり/文中敬称略)
【profile】
森下仁志(もりした・ひとし)
1972年9月21日生まれ、和歌山県海南市出身。順天堂大学から1995年にガンバ大阪へ加入。豊富な運動量を武器に中盤で活躍し、のちにコンサドーレ札幌、ジュビロ磐田でプレー。2005年限りで現役を引退した。翌2006年からジュビロ磐田のユースコーチ、トップチームコーチを歴任し、2012年に同クラブの監督に就任。その後、京都サンガF.C.のコーチ、監督を経て、サガン鳥栖、ザスパクサツ群馬、ガンバ大阪U-23で監督を務め、ガンバ大阪ユースの監督も歴任した。2024年に東京ヴェルディのコーチに就任し、現在はヘッドコーチを務める。Jリーグ(リーグ戦)通算239試合10得点。ポジション=MF。身長173cm。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
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