谷口彰悟が抱えていた「アキレス腱、再断裂」の怖さ 最大の懸念はホームスタジアムが「人工芝」だったこと (4ページ目)
【代表復帰につながったゲンク戦】
しかし、約1年ぶりにピッチに戻ってきたばかり。自分のプレーにフォーカスしなければならず、正直、そこまでの余裕はなかった。
だから、時にはチームのことに目を向ける前に、「自分がやるべきことをやれよ」と、自分自身に言い聞かせもした。その一方で、センターバックというポジション柄、組織的な守備を構築して未然に相手の攻撃を食い止めなければ、最終的にしわ寄せが来るのはセンターバックである自分のところになる。
鶏が先か、卵が先かではないが、チームとしてのプレーが先か、それとも個としてのプレーが先か。ここでも再びジレンマを抱えた。
同時に、だからこそ自分に苛立ちを覚えてもいた。
以前の自分であれば、たとえ相手に崩されたとしても、窮地に陥ったとしても、持ち前の危機察知能力を生かして、相手を食い止められていた。
それが、自分のコンディションや試合勘が戻りきらずにいるため、最後の際のところに顔を出せない、最後の一歩で足が届かない状況を作ってしまっていた。チームとしての課題はありつつも、自分のパフォーマンスでチームを助けることができない現実に直面した。
失点するたびに、「ここを止めてこそなんぼだろ」「ここを止めてこそ谷口彰悟だろ」と、自分に問いかけた。
危機察知能力の感度を上げる。その感度の高さによって、自分はここまでプレーを続けてきた自負があるだけに、今も、これからも、追い求め続けていくことになるだろう。
ただ、先発復帰して3試合目のゲンク戦は、退場者が出た影響もあって1-2で敗れたが、チームとしての守備も改善され、自分自身のコンディションも戻りつつあった。ほんの少しだが殻を破れたというか、光が射した試合になった。
そうした手応えが、日本代表への復帰につながったと思っている。同時に1年ぶりとなる日本代表の活動では、自分がワールドカップ出場を目指すうえで、取り戻さなければならないものがより明確になった。
【profile】
谷口彰悟(たにぐち・しょうご)
1991年7月15日生まれ、熊本県熊本市出身。大津高→筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに正式入団。高い守備能力でスタメンを奪取し、4度のリーグ優勝に貢献する。Jリーグベストイレブンにも4度選出。2015年6月のイラク戦で日本代表デビュー。カタールW杯スペイン戦では日本代表選手・最年長31歳139日でW杯初出場を果たす。2023年からカタールのアル・ラーヤンSCでプレーしたのち、2024年7月にベルギーのシント・トロイデンに完全移籍する。ポジション=DF。身長183cm、体重75kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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