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谷口彰悟が抱えていた「アキレス腱、再断裂」の怖さ 最大の懸念はホームスタジアムが「人工芝」だったこと (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【一つひとつ思い出しながらプレー】

 そこには当然、焦りもあった。だが、すべては自分の判断により招いた事態。その決断を後悔したところで、何かが変わるわけではない。後ろを見るよりも、いつか来るチャンスを確実につかむために、前を向こうと開き直った。

 転機が訪れたのは8月末だった。夏の移籍期間で右サイドバックを担っていた選手が移籍したのである。そのため、センターバックを務めていたレイン・ヴァン・ヘルデンが右サイドバックに回ることになり、自分にセンターバックとして先発出場する機会が巡ってきたのだ。

 ヴランケン監督からも「次は(先発で)行くぞ! 大丈夫か?」と聞かれ、試合は人工芝のホームだったが、今度は強くうなずいた。

 先発に復帰した9月15日のウェステルロー戦は0-3で敗れたように、自分自身もPKを献上するなど、対応が甘かった。ただし、約1年ぶりの先発だったがプレーした感覚的には、見えているところやビルドアップについては決して悪くなかった。むしろ課題を感じたのは守備のところ。どこかイメージと実際のプレーが合致していない感覚があった。

 簡潔に言い表せば、それを「試合勘」と呼ぶのだろう。危機察知能力によって、いち早く相手の攻撃を読んで対処する。そこは自分の武器のひとつだと思っている。それだけに、試合の流れを読みきれない自分にもどかしさがあった。

 久々の先発出場とあって、試合中も「今、何をしなければいけないのか」「今、何をしてはいけないのか」、今まで自分が蓄えてきた経験を、一つひとつ思い出しながらプレーしていた。

 こういう場面では、こう対応していたよな。こういう状況では、こう動いていたよな──。センターバックとしての経験という引き出しを一つひとつ開けては、そこに何が入っていたのかを思い出すかのように。

 そうした試合勘については、数をこなす、要するに試合を重ねていけば合致してくる感覚があった。一方で、自分自身のプレーに集中しきれない状況にあった。

 なぜなら、チーム全体として守備には改善すべきポイントが多々あったからだ。それはスタートから試合に出るようになって感じた「チームの課題」でもある。チームメイトにはミーティングでも伝えたが、キャプテンも任され、チーム全体をまとめることを期待されている以上、そこから目を背けるわけにはいかなかった。

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