サッカー日本代表が10月にブラジルと対戦 いまだ勝ったことのない相手に勝利なるか (4ページ目)
【ブラジルには日本相手に勝ちパターンがある】
当時のブラジルには、日本戦の勝ちパターンが確立されていた。
ブラジル側の視点から見ると、こうなる。
日本の選手は中盤でパスをつなぐ能力は高い。しかし、ボールを持たせても決定力がないので恐さはない。したがって、無理に追い回してボールを奪いに行く必要はない。
しっかり守っていれば、日本のミスに乗じてボールを奪える機会は必ずくる。ボールを奪ったらカウンターを仕掛ければ、ブラジル選手のテクニックとスピードに日本の守備陣は対応できないから、必ずゴールを決めることができる......。
こうして、2013年のブラジリアでの試合も、2014年のシンガポールでの試合も、そして2017年のリールでの試合も似たような展開でやられてしまった。時間帯によっては日本がボールを持つこともできるのだが、結局得点は奪えず、カウンターやセットプレーから失点を重ねてしまう......。
日本は2018年ロシアW杯でラウンド16に進出してベルギーと大接戦を演じ、2022年カタールW杯ではドイツ、スペインに勝利してラウンド16ではクロアチアと引き分けた(PK戦負け)。また、今では日本代表選手はほぼ全員が欧州のトップリーグでプレーしている。
当時とはまた状況が違うはずだ。10月の試合ではそのことを証明してほしい。
「日本選手にボールを持たせておいても危険はない」「日本の守備陣はブラジル選手の個人能力に対処できない」。かつてブラジル選手はそう考えてプレーして、実際にその通りの勝ち方をしていた。
だが、今年の対戦ではブラジル選手たちに「真剣に戦わないと勝てない相手だ」と思わせてほしいものである。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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