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サッカー日本代表が10月にブラジルと対戦 いまだ勝ったことのない相手に勝利なるか (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【最初の対戦は1989年】

 日本代表が初めてブラジル代表と対戦したのは1989年7月のことだった。

 この年の春、イタリアW杯予選に挑戦した日本代表は北朝鮮とは1勝1敗だったものの、格下のインドネシア、香港相手にアウェーで引き分けてしまったために勝ち点で北朝鮮を下回って、あっけなく1次予選で敗退する。

 6月に平壌(ピョンヤン)に遠征して北朝鮮に敗れて敗退が決まった日本代表は、横山謙三監督が交代することもなく、何事もなかったように南米遠征に出発。アルゼンチン、ブラジルでクラブチームと対戦した後、7月23日にブラジル代表と対戦した。

 ヴァスコ・ダ・ガマのホーム、サン・ジャヌアリオ(リオデジャネイロ)で行なわれたこの試合。ブラジルにとってはW杯南米予選直前の準備試合であり、先発にはGKのタファレルやキャプテンのドゥンガをはじめ、アウダイール、ベベット、カレカ、ロマーリオといった錚々たるメンバーが名を連ねており、開始直後からシュートの雨を降らせる。だが、シュートが枠を捉えられなかったり、GK森下申一の正面を突いたりで、ブラジルはどうしても得点できない。

 しかし、ブラジルは後半に入ると予定どおり9人の交代を使って若手選手のテストに切り替えた。そして、74分にヘディングで決勝ゴールを決めたのもそうした若手のひとり、地元ヴァスコ期待の19歳ビスマルク・バレット・ファリアだった。そう、のちにヴェルディ川崎(現、東京ヴェルディ)や鹿島アントラーズで活躍する、あのビスマルクである。

 この試合、日本では実況中継はなかったが、しばらく後に録画で放映されている。日本では観客数2174人と伝えられることがあるが、実際の数字は1万2174人だった。

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