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サッカー日本代表のCBとストライカーはいつも人材不足 E-1で見つけた「海外組との化学反応が楽しみな新戦力」 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【190cmの大型CBが攻守で活躍】

 3バック中央で守備を統率した荒木は、チームメイトのGK大迫敬介、ボランチ川辺駿が近くにいた。急造チームでありながらも、あらかじめ培われた連係を生かすことができた。

 ロシアワールドカップメンバーの植田も、先発した中国戦はチームメイトのGK早川友基と同時出場した。お互いの責任範囲がはっきりしている関係は、今回のようなチーム編成では拠りどころになる。

 アビスパ福岡所属の安藤は、今大会のメンバーに所属クラブのチームメイトがいない。このE-1選手権が代表初招集でもある。誰よりもまっさらな環境で、存在感を示したことをまず評価したい。短い時間で周囲の選手の特徴を理解し、並行して自分の強みを出していくのは、日本代表に選ばれていくためには必要であり、彼はその条件をクリアした。

 ピッチ上でのパフォーマンスも、今後への期待を抱かせた。海外組と彼を並べてみると、190cmのサイズは高井幸大(トッテナム・ホットスパー)に次ぐもので、町田浩樹(ホッフェンハイム)に並ぶ。そのサイズをフルに生かしたエアバトルで、韓国の190cm超えのFWオ・セフンとイ・ホジェに競り勝っていた。

 3バックの右CBを務めたこの26歳は、攻撃にもしっかりと関わっていた。パスを受けて近くの選手につけるだけでなく、最前線やひとつ先を見る。グラウンダーの縦パスを通したり、DFラインの背後を浮き球で突いたりできる。

 香港戦では後半終了間際に、右CKからヘディングシュートを突き刺した。味方選手にファウルがあったとしてゴールは認められなかったが、得点が取れる空間へ勢いを持って入っていくことができる。

 韓国戦の前半でも、決定機を生み出した。ペナルティエリア右でボールを収め、胸で押し出すようにコントロールし、右足で際どいシュートを浴びせている。

 来年の北中米ワールドカップに向けて、安藤は競争へ加わる扉を開けたと言っていい。それでも、韓国戦後の取材エリアで足を止めた表情に、充実感や満足感はにじんでいなかった。

「最後まで集中して無失点で終われたのはよかったと思いますが、自分自身はもっと伸ばしていかなきゃいけないところがあると感じました」

 先を見据えるからこそ、自己評価が厳しくなったのだろう。

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