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サッカー日本代表に現職サイドバックの選出はゼロ E-1選手権でも4バックは放棄か (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 いつもの日本代表には、三笘薫、堂安律、伊東純也、久保建英など、所属クラブでウイングを張る選手が目白押しで、他の指導者が育てたウイングを、森保監督はウイングバック(WB)としてプレーさせている。

 今回は俵積田、久保藤次郎など、所属チームでWBとしてプレーする選手を選んだわけで、その結果、3-4-2-1上にきれいに収まる選手を選ぶことになった。主に4バック上でプレーする一部の選手を無視するかのように。今回の東アジアE-1選手権が強行軍で行なわれることを差し引いても、強引すぎる判断だと言わざるを得ない。

 世界的に少数派の3-4-2-1をそれでも貫きたいのなら「臨機応変」「賢くしたたかに」などと抽象的な言葉ではなく、すべてに向けた明快な説明が必要だ。なし崩しは許されない。 曖昧な言葉で誤魔化そうとすれば誠実さが失われる。ますます悪い流れに向かう。現在がその状態だ。

 森保監督のSBを不要とするサッカーは、「サッカーはSBが活躍したほうが勝つ」「いいサッカーとはSBを有効に使うことだ」と、欧州取材でトップクラブの監督やコーチからさんざんレクチャーを受けてきた筆者には、とりわけ残念に思われる。日本のサッカーからSBを消滅させてはまずいのである。
 

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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