サッカー日本代表に現職サイドバックの選出はゼロ E-1選手権でも4バックは放棄か (2ページ目)
【3バックのチームから多く選出】
広島、柏、町田、FC東京、名古屋、東京V、岡山の7チーム(計18人)は森保式5バック(3-4-2-1)で戦うチームだ。福岡、清水は4バックとの併用型(計2人)。ほぼ4バックで通しているチームは鹿島、川崎、神戸、京都の4チーム(計6人)となる。
つまり、鹿島、川崎、神戸、京都から選出された5人は、ふだん森保式3バックをやり慣れていない。一方、やり慣れている選手は21人を数える。
ちなみに今回、ひとりも選出されなかったJ1の7チームの内訳は、4バック系が5チーム(浦和レッズ、ガンバ大阪、セレッソ大阪、横浜F・マリノス、アルビレックス新潟)で、5バック系は2チーム(湘南ベルマーレ、横浜FC)になる。
森保監督が、代表チームで採用する布陣(3-4-2-1)にふだんから接している選手を意図的に選んだことが透けて見える。普段4バックでプレーする選手を可能な限り少なくする。これこそが、急増チームで、しかもトレーニングする時間が短いという制約下で導き出した森保監督の答えだったのだろう。
その影響が顕著に現れた場所は、サイドバック(SB)だ。26人のメンバーのなかに、現在、所属チームで先発レギュラーの4バックのSBとしてプレーする選手はひとりもいない。森保ジャパンにSBは不要と言ったようなものである。
SBというポジションがある4バックで戦うチームは、世界的に見れば全体の7割方を占める。パリ・サンジェルマンが優勝した昨季のチャンピオンズリーグでは、ベスト8に残ったチームのうち7チームを占めた。3バックを敷いたのはインテルのみ。SBのいないサッカーは世界的には少数派に属する。
J1では、森保ジャパンの影響も手伝ってか3バックが幅を利かすが、それでも先述のように、それぞれの関係はほぼイーブンだ。
事実上、排除されたとも言えるSBとしてプレーする選手、たとえば三浦颯太、佐々木旭(川崎)、濃野公人、小川諒也(鹿島)、黒川圭介、半田陸(G大阪)あたりは、この事態をどう見ているか。それぞれの所属クラブの監督にも意見を聞きたくなる。これは小、中、高、大のサッカーにも大きな影響を与えかねない偏りである。協会の技術委員長や技術委員会の見解も問い質したくなる。
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