サッカー日本代表の希望の星 高井幸大が持つ、一流センターバックに必要なふたつの条件 (2ページ目)
【出色のパッサーとしての能力】
歴史的にも、日本人センターバックは欧州組が少なく"アキレス腱"だった。そんななかで吉田はオランダ、イングランド、イタリア、ドイツで実績を積み、続いて冨安が名門アーセナルで台頭した。ただし、冨安は実力と裏腹にケガが多すぎる。その後も町田浩樹(ユニオン・サン・ジロワーズ→ホッフェンハイム)、瀬古歩夢(グラスホッパー)、渡辺剛(ヘント)などが続くが、戦場はベルギー、スイスだ。
他のポジションと比べて日本人センターバックの欧州での活躍が目立たないのはなぜか。
それはセンターバックが、相手に対応することが基本となるポジションだからだろう。言い換えれば、最低条件で「体格」が求められる。サイズの小さな日本人は劣位になる。長身のストライカーに向けてロングキックを放り込まれて競り合いに負けるような高さでは通じない。最近では、相手に対応するスピードというアスリート能力も求められる。門番として、どんな攻めにも適応するタフさが必須だ。
もうひとつ、現代のトップレベルのセンターバックは敵の攻めを弾き返すだけでは物足りない。プレスを受けても、悠然とボールをつなぐことができる、もしくは自ら持ち上がってパスをつけられる。そんなボールプレーヤーとしてのセンスも欠かせないのだ。
このふたつの条件を同時にクリアしている高井は、特筆すべき存在と言えるだろう。
高井は身長192センチで、現在の日本代表では一番の長身である。Jリーグでは制空権を確保。競り合いに強さを見せ、ヘディングでのゴールも決めている。何より、ボールコントロール、キックの技量が高い。繊細で、品すら感じさせる。後方からのプレーメイクは彼の最大の持ち味だ。
「(パスは)いつも意識している」
高井は言うが、ビジョンを具現化できるのは最大の才能だろう。直近の東京ヴェルディ戦でも、ゴール前の山田新に通したスルーパスは出色だった。予知能力のように、走り出した味方の足元につけられるパスは瞠目に値する。
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