サッカー日本代表メンバー外を味わった旗手怜央 長友佑都、長谷部誠に「助けられた」
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サッカー日本代表のワールドカップ予選で、旗手怜央は中国戦、バーレーン戦ともにメンバー外でベンチ入りすることができなかった。悔しい思いのなか、代表活動でどんな行動をし、どんな考えを持ったのか語った。
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旗手怜央はサッカー日本代表のワールドカップ予選で2試合ともメンバー外の悔しさを味わった photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【自分ができることにフォーカスしようと考えた】
悔しくないと言ったら、嘘になる。
先日行なわれた2026年W杯アジア最終予選のことだ。日本は、9月5日にホームで中国と、10日にアウェーでバーレーンと対戦したが、自分は日本代表に選ばれながら、2戦とも試合に出場できる23人のメンバーに入ることが適わなかった。
プレシーズンからコンディションもよく、セルティックでもリーグ開幕からここまで、ゴール、アシストと結果を残していただけに、ピッチに立ったら活躍できる自信もあった。また、グラスゴーから長い距離を移動してきただけに、外から試合を眺めるしかなかった現実は心底悔しかったし、もどかしかった。
それは選手であれば、当然の感情だろうし、その悔しさがなければ、自分の成長も発展もないと思っている。
「何で、俺なんだよ」
メンバー外を告げられた時には正直、そう思った。
一方で、こうも考えられた。
試合に出場するメンバーを決めるのは、監督であり、監督の権限でもある。そこは、選手である自分にはどうにもできない領域だ。
だから、自分でどうにかできないところに目を向けるのではなく、今の自分にできること、今の自分がやれることにフォーカスしようと考えた。
今回、試合のメンバーに入れなかった自分が、メンバーに入るためにできることは何か。トレーニング、食事、睡眠、体調管理......考えれば、自分にできること、やれることは、まだまだたくさんあると思えた。
実際、外から見た日本代表は、素直に強かった。
ピッチに立っている選手それぞれが、個の技術が高く、また、その個がチームとして生かされていた。
だから、誰かと比較するわけではなく、純粋に自分がその輪に入ったら、こういうプレーができるのではないか、こういう立ち位置を取ったら、自分も周りも生きるのではないかと、想像を巡らせたし、膨らませた。
2試合ともメンバー外だったので、日本代表の活動に参加したのを徒労と捉える人もいるだろう。
しかし、自分はこの機会や経験が無駄だったとはまったく思っていない。
試合に出ていたとしても、出られなかったとしても、その時間を無駄にするのか、それとも有益にするのかは、自分次第だからだ。
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著者プロフィール
旗手怜央 (はたて・れお)
1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2022年3月のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。2022年1月より、活躍の場をスコットランドのセルティックに移して奮闘中。