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谷口彰悟「自分を育てた熊本に貢献したい」 子どもたちにサッカーを通して感じてほしかったこと (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【一緒に身体を動かし、一緒に楽しんだ】

 経験年数もバラバラならば、所属チームもバラバラ。男女も分け隔てなく選んだ。

 これは、サッカーに限ったことではないが、年齢を重ねていくにつれて、初対面の人たちと行動、活動する機会も増えてくる。人見知りの子もいれば、コミュニケーションに積極的な子もいるように、お互いに助け合いながら、何かを一緒にやる楽しさや喜び、さらには達成感を感じてもらいたかった。

 初めて会う人同士でも、サッカーはボールがひとつあれば、楽しめる。同時に競技の魅力も感じてもらいたかった。

 自分が主催するからこそ、そうした細部にも自分の考えを組み込ませてもらった。

 当日のレクリエーションのメニューについては、ふだんから子どもたちに接し、指導しているスペシャリストに任せたが、その分、自分も彼ら彼女たちと同じ目線になり、プレーヤーとして一緒に楽しもうと考えた。そのほうが、子どもたちとの心の距離が近くなると思ったからだ。だから、ウォーミングアップも含め、一緒に身体を動かし、一緒に楽しんだ。

 イベント中は、積極的に子どもたちに声をかけ、できたことを褒め、楽しい空気をつくるように心がけた。時間が経つにつれて、子どもたちが照れや恥ずかしさを忘れ、一生懸命にボールを追う姿や、真剣な表情でボールを奪い合う姿が見られてうれしかった。

 イベントを終えた子どもたちから「楽しかった」「また、やってください」との声を聞いた時には、僕自身がうれしくなってしまった。心の底から「やってよかったな」と思った。

 子どもたちに夢や希望を抱くきっかけとなる刺激を与えたい。それは幼いころの自分が、両親や出会った指導者からもらったものでもあった。

 僕が本格的にサッカーを始めた熊本ユナイテッドSCは、通っていた幼稚園の先生や両親たちが中心になって発足したチームだった。運動、特にサッカーが好きな子どもたちがプレーする環境をつくろうと、チームを立ち上げ、僕らがサッカーを楽しめる環境を整えてくれた。

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