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急転直下、女子W杯の放送が決まるまでの舞台裏 日本の女子サッカーを取り巻く状況は世界と逆行している (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【FIFA「日本は女子サッカーに敬意を」】

 筆者はかつてFIFAで仕事をしたことがあるが、その時からの知り合いが今、「FIFA TV」の役職に就いている。彼に聞くと、日本からは3つのテレビ局がコンタクトをとってきたと言う。だが、提示してきた金額はあまりにも安く、ある局は「無料なら放映してもいい」と言ってきたそうだ。ビッグ5は、期待外れとはいえ、まだそれなりの金額を提示してきたが、日本の提示額はお話にもならないぐらい低かったと言う。

 インファンティーノ会長は直に日本サッカー協会に連絡を取ったと聞いた。女子のW杯を男子のW杯と同じくらいのビッグイベントにしようと思っているその矢先に、優勝経験国の日本が大会を放送しないというのは、FIFAの沽券にもかかわる。前出の「FIFA TV」の友人によると、少なくとも日本側と8回以上の話し合いをもったという。

「日本は女子サッカーと同義語だったはずだ」

 FIFAのチーフビジネスオフィサーであるロミ・ガイはこう言う。

「日本のテレビ局ひとつひとつに電話して、女子チームと同じ勇気を示してほしいと言いたい。彼女たちにふさわしい敬意を払ってほしい、と」

 今回、金持ちであるはずのヨーロッパ主要国と日本以外は、どこも問題が起こっていない。たとえばブラジルでは地上波の他に、ストリーミング配信がひとつ、ケーブル2局、ラジオで中継を行なう。アルゼンチンでも地上波、ストリーミング、ケーブルテレビが生放送する。金額は違うとはいえ、それなりの額を払っているはずだ。ブラジルでは女子サッカー熱は高まっており、つい先日もブラジルの全国ネット局「グローボ」で1時間半の女子サッカーの特番が放送された。

 かつてなでしこジャパンが世界を制した時、世界は「日本に学べ」と思った。ブラジルでもなでしこジャパンは憧れだった。しかし、残念ながら世界で女子サッカーがどんどん発展しているなかで、日本の女子サッカーを取り巻く状況は逆行していると言わざるを得ない。

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