スペインの名指導者が日本代表の中盤に苦言。「役割がはっきりしていない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

カタールW杯アジア最終予選特集

「5-3-2で堅く守った陣形を崩すのは、たとえ戦力差があっても簡単ではない。しかも、ベトナムはチームとして戦術がとてもよく鍛えられていた」

 スペイン人指導者であるミケル・エチャリは、日本が敵地でベトナムに0-1と辛勝した試合をそう振り返っている。エチャリはかつてエイバルを率いていた時代に、戦力で劣りながら、5バックを用いて2年連続で2部に残留させた実績がある。その守備戦術は、ウナイ・エメリ(現ビジャレアル監督)など多くの監督に影響を与えている。

「ベトナムは、攻撃時には3-5-2に転じ、日本のサイドバックの裏をカウンターで狙っていた。技術的な問題でうまくいかなかったが、プレーそのものはデザインされていたと言えるだろう。前半はリスクをかけずにロングボールに活路を見出そうとし、後半はプレッシングをかけてショートカウンターを、という戦いをしていた。空中戦で日本にひけをとり、プレッシングでもスペースを与えて、攻撃面のトライは成功していないが、守備面は一定の評価を与えられるだろう」

 エチャリはプロの目で、中立的に試合を評している。はたして、森保ジャパンの戦いはどのように映ったのか?

日本の中盤の要ながら、ベトナム戦ではプレーに波があった遠藤航日本の中盤の要ながら、ベトナム戦ではプレーに波があった遠藤航この記事に関連する写真を見る「フォーメーションは4-3-3ということだが、実際は4-4-2に近かったのではないか。とても変則的だった。誤解を恐れずに言えば、中盤の選手の役割や立ち位置があまりはっきりしていなかった。

 日本の選手は序盤から攻める意欲を見せていたが、プレッシングのタイミングなど、いくらか空回りしていた。

 たとえば遠藤航は、立ち上がりから不必要に相手選手に強く入りすぎる傾向があった。ライン間に入ったり、ボールを運んだり、インターセプトに成功したり、いくつもすばらしいプレーがあった一方、自陣で無理にボール持ち出そうとして引っ掛けられて失い、カウンターの危機を招いていた。気がはやっていたのか、プレーに波があった。

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