森保ジャパンが好機をつくれない理由。左サイドはメスを入れる必要がある

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 後半30分、大迫勇也に代わり古橋亨梧が投入されると、4-3-3の前線には左から浅野拓磨、古橋、伊東純也の3人が並んだ。この3人に共通して言えるのは、足がズバ抜けて速いという点だ。100メートルを10秒台で走れそうな走力を最大の武器にする。しかしこの時、日本の攻撃に圧倒的な走力はどれほど必要だっただろうか。

 確かに前半、伊東の走力は日本の大きな武器になっていた。前半40分、VARの結果、田中碧がオフサイドを取られ伊東のゴールがノーゴールになったシーンも、その桁外れなスピードが一番の要因になっていた。
 
 しかし、終盤になるにつれ、日本がボールを支配する時間は長くなっていった。支配率の関係で言えば、おそらく60%対40%を大きく超えていたに違いない。前半こそ高いラインを維持したベトナムの5バックも、ベタ引きに近くなっていた。そこに森保監督はスピード系のFW3人を前線に並べたわけだ。1人ならわかる。2人でもギリギリ、オッケーだ。しかし3人となると、全体のバランスは崩れる。

 こう言ってはなんだが、スピード系の選手はどちらかと言えばあまり技巧的ではない。この3人しかり。遅攻で生きるタイプではない。スピード的な魅力を、粗さという欠点が上回ってしまう。日本のサッカーそのものが技巧的ではなくなる。緻密さも失われる。この3人を前線に並べた森保監督は、どんな絵をピッチに描きたかったのだろうか。

 日本の問題が、この日、使用した4-3-3で言うならば3トップに、4-2-3-1なら「3-1」にあることを再認識させられた試合だった。

 リバプールに所属、日本の看板選手である南野はなぜ、後半18分、交代の1番手としてピッチを去らなければならなかったのか。存在感を発揮したのは、先制点をアシストしたシーンのみだった。

 ポジションは4-3-3の左ウイングであるはずだ。ところが、これまでにも再三指摘してきたように、南野はかつての香川真司がそうだったように、その場にいることができない。真ん中付近を定位置とするかのようにポジションを取る。それではバランスが崩れ、オーストラリア戦同様、左インサイドハーフの守田英正がしきりに、左ウイングの位置をカバーした。

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