日本代表、オーストラリアに辛勝も、パスワーク復活のためにはさらなる変化が必要だ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

カタールW杯アジア最終予選特集

 カタールW杯アジア最終予選第4戦、オーストラリア戦を1勝2敗(勝ち点3)で迎えた日本は、引き分け以下だとこの組で2位以内(自動出場圏)に入る可能性が遠のく。森保一監督の立場も危うくなる――そんな重大な一戦に、辛うじて勝利を収めることができた。

後半41分、浅野拓磨のシュートからオウンゴールで勝ち越しを決めた日本代表後半41分、浅野拓磨のシュートからオウンゴールで勝ち越しを決めた日本代表 数ある2-1という結果の中で、接戦度という点において相当上位にランクされる試合であり、ハラハラドキドキさせられたサッカーの魅力が詰まった一戦だった。言い換えれば、負けていてもおかしくない試合。森保ジャパンの実力が、最近の日本代表チームの中でも低いほうに入ることを認めざるを得ない、オーストラリアの強さを再認識した試合となった。アウェー戦(3月24日)では、さらに苦戦しそうなことが明らかになった。

 日本はオーストラリアに対し、2011年のアジアカップ決勝で劣勢を覆して優勝するまで、分の悪い関係にあった。1-3で敗れた2006年ドイツW杯がその代表的な一戦になるが、最近の10年では負けていない。格上とまでは言わないが、26位(日本)対32位(オーストラリア)というFIFAランキングに準じた関係にあった。それがこの一戦を通して覆された気がする。勝ったのは日本だが、オーストラリアには、「敗れてなお強し」の印象を抱いた。

 何と言ってもボールがよく回る。簡単に奪われない自信があるのだろう、日本の選手に比べてプレーにゆとりがある。慌てた様子が一切ない。パスワークに優れ、ボール支配率でも日本を上回った(53.4%対46.6%)。日本がゲームをコントロールしながら、オーストラリアのカウンターに苦戦したわけでは全くない。むしろその逆。身体が大きいせいか、動きが緩慢に見えることなきにしもあらずだが、オーストラリア選手は安定感に富んでいた。日本に不足している長所を備えていた。

 1位サウジアラビア(勝ち点12)、2位オーストラリア(9)、3位オマーン(6)、4位日本(6)、5位中国(3)、6位ベトナム(0)。

 この日行なわれた、B組の他の2試合(サウジアラビア3-2中国、オマーン3-1ベトナム)の結果、順位はこのようになった。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る