浦和レッズレディース塩越柚歩が好きだった選手。「実は昔からプレー集とか見たりしてました」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text & photo by Hayakusa Noriko

 どこか遠慮がちにプレーしていた。「もっと積極的に!」指揮官から何度も声がかかる。塩越柚歩はそんな選手だった。しかしオリンピックで見せた彼女のプレーは軽やかですべてをふっきったプレーに見えた。ほんの1年前まで人前で話すことが苦手だったプレーヤーが大きな成長を見せ、日本で初めてとなる女子サッカーのプロリーグであるWEリーグに臨んでいる。飾らず真摯に紡がれる等身大の言葉には確かな覚悟が秘められていた。東京五輪とWEリーグでの試合について語った浦和レッズレディース塩越柚歩東京五輪とWEリーグでの試合について語った浦和レッズレディース塩越柚歩この記事に関連する写真を見る──2年前、浦和レッズレディースに森栄次監督が就任し、チームが大きく変わり始めました。

「森さんのサッカーは簡単に言うと、ポゼッションサッカー、パスサッカーです。流動的なサッカーも好きだし、自分に合ってるなって思いました。そんな矢先にケガをしてしまって......。だから手術も勇気が必要だったし、悩みました。みんなのコンビネーションが深まっていくのを感じながら早く混ざりたい気持ちも、悔しい気持ちもあって......一緒にプレーできない自分にモヤモヤしている時期がありました」

──今でこそ、阿吽の呼吸でゴールを生む菅澤優衣香選手との連係プレーですが、復帰して間もない頃はとてもぎこちなかったですよね。どう構築していったのでしょう?

「ひとつひとつのプレーが途切れた時に、『こうしたかった』とか『こうしよう』という話はしていました。プレーしながらお互いの特長と動き出しのタイミングをわかり合ってきた感じ。お互いが求めてる感覚が合ってきたのかなって思います」

──塩越選手独特のボールを失わないプレーにおいて、心がけていることは?

「相手がどっちにプレスをかけてきそうだなっていうのはパスを受ける前に感じ取るようにはしています。相手を引き寄せるトラップをして逆にターンをするのは得意なんです。相手を背負ってる時は、相手からボールが見えないポジションを取ったり......。優衣香さんみたいに体の強さでキープはできないので、タイミングをずらすことを意識しています」

──相手にとってすごく嫌なところに立っているんですよね。

「裏を走ってみたりして相手をチェックしますね。どんなプレーを嫌がるのか、相手がちょっとサボってるところを突くとか......。なんか私、嫌な感じですけど(笑)、そこは狙っています」

──浦和はファーストディフェンスが速いです。塩越選手としてはやりやすいですよね?

「めちゃくちゃやりやすいです! ボランチのふたり(柴田華絵、猶本光)がボールを取ってくれるのでそのこぼれ球を拾って攻撃につなげられる。本当にボランチのふたりあってのレッズの守備だなって思います」

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