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消極的だった森保一監督の選手起用。「目標は金メダル」にふさわしい采配だったのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 なぜ、こんなことになってしまったのか。

 その理由の第一は、選手起用におけるローテーションの失敗にあるのだろう。

 優勝するためには中2日で6試合(決勝のみ準決勝から中3日)を戦わなければならない五輪は、非日常の過酷な大会。週1試合が基本となる日常のリーグ戦とは、同じサッカーでも似て非なる競技と言っていい。

 だからこそ、選手のローテーションが必要になる。つまり、出場する選手を入れ替え、肉体的な負荷を分散させることによって、チーム全体としてのパワーを保つ必要があるのだ。

 では、日本はどうだったか。準決勝のスペイン戦を振り返ってみたい。

 この試合を前に、日本もスペインも4試合を戦い、準々決勝では延長120分間を戦っていた。ともに試合数、試合時間はまったくの同条件である。

 そこで、両チームの先発メンバーを比較してみる。日本の先発のうち過去4試合すべてに出場していた選手は8人。そのなかで、総出場時間数が300分(1試合平均75分)を超えていた選手が7人いた。

 一方のスペインは、先発のうち4試合すべてに出場していたのは7人。うち300分以上に出場していた選手は6人だった。

 その差、わずか1人。とはいえ、スペインのほうが少ないのは事実。つまりは、そもそも実力上位のスペインのほうが、疲労をうまく分散させながら勝ち上がってきたことになる。これでは、日本が番狂わせを起こすのは難しい。

 振り返ってみると、初戦で南アフリカに勝利した日本は、第2戦で先発メンバーを(少なくとも3、4人は)入れ替える手が十分にあり得た。相手のメキシコも初戦に勝利しており、互いに引き分けを視野に入れながら戦える試合である。最悪負けたとしても、まだ最後のフランス戦が残っている。

 だが、実際には左MF1人を入れ替えただけ。結果、日本は2連勝できたが、それでも決勝トーナメント進出決定には至らなかったことで、第3戦でも3人しか入れ替えることができなかった。

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