吉田麻也の思いはチームメイトに届くか。53年ぶりのメダル獲得へ欠かせないもの

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 彼らがどれだけ本気で金メダルを目指していたのか。その思いをはっきりと映し出す光景だった。

 準決勝スペイン戦。日本の選手たちは決勝進出の夢破れた瞬間、次々とその場に崩れ落ちた。

「負けたけど、次もある。かといって、(すぐに気持ちを)切り替えられるほど、まだ僕も強くないので、どうしようかなと今考えている」

 試合後、そう語っていたのはMF久保建英だ。ベンチ前で試合終了を迎えた久保もまた、その場に座り込んだまま、動くことができなくなったひとりである。

「まだ気持ちの整理ができていない」(MF相馬勇紀)

 3位決定戦が残っていると頭ではわかっていても、そんな言葉を口にする選手は多かった。

スペインに敗れて呆然とする久保建英。3位決定戦へ気持ちを切り替えることができるかスペインに敗れて呆然とする久保建英。3位決定戦へ気持ちを切り替えることができるかこの記事に関連する写真を見る キャプテンのDF吉田麻也が語る。

「スペイン戦にかけていたし、みんなが(力を)出し切ったのもよくわかる。疲弊しているのが、表情からもうかがえた。僕もロンドンの時、そうだったし、気持ちはわかる」

 2012年ロンドン五輪の日本は、グループリーグ初戦で優勝候補のスペインを下すなど快進撃を続け、44年ぶりとなるベスト4進出。だが、準決勝でメキシコに敗れると、続く3位決定戦でも韓国に屈し、結果的に銅メダルすらも逃した。

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