2020.05.25

井原正巳が驚いたファルカンの
ドーハ組解体。合宿は「毎回ヘトヘト」

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Masabu

 ファルカンは、合宿を何度か重ねていくうちに選手を入れ替えていくが、技術レベルの高い選手ばかりを選んだかと言えば、そういうことでもない。フィジカルの強さや運動量の多さも重視しているようだった。なぜなら、まるで高校時代の部活のような、ハードなフィジカルトレーニングが多かったからだ。

「合宿では、かなりフィジカルトレーニングをしました。トラックで素走りだけじゃなく、台を置いてジャンプするとか、『代表チームでこんなにフィジカルやるの?』っていうぐらい。しかもフィジカルをやって足が疲れた状態で、ボールを使った練習をするんですよ。それがほんとキツくて......。

 そのせいで合宿は嫌だと言う選手がいたし、あちこち痛いと理由をつけて走るのを拒む選手もいた。ファルカンは、これくらいはブラジル人ならできて当たり前、日本人はフィジカルが足りない。そう思っていたのかもしれないけど、選手は毎回、ヘトヘトでしたね」

 ファルカンのフィジカルトレーニングを含めた練習には意図があった。もちろん、90分間相手に厳しいプレスをかけつづけ、ピッチを上下動できる体力が必要ということで、根本的にフィジカルを強くする狙いがあった。それと同時に、フィジカルトレーニングで疲れた足でボールを使った練習やリフティングなどをするのは、試合の後半など、疲労しているなかでもボールをしっかりコントロールすることにつながる狙いがあった。

 練習は、かなり細かく指示され、うまくいかないと笛が吹かれて度々プレーが止まった。たとえば、ショートコーナーを使う場合、澤登正朗からカズに出し、角度を変えてクロスを入れる。これに中の井原らが合わせるのだが、それぞれのポジションについて細かく指定された。いろんなパターンをトライするなかでうまくいかない場合は、ファルカン自身がクロスを蹴ることもあった。