なでしこ、失点時の悪癖は直らず。
それでも岩渕真奈が流れを変えた

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 世界ランク1位の女王アメリカと対戦した、シービリーブスカップ(SheBelieves Cup/アメリカ開催)の最終戦は、スコアこそ1-3と初戦のスペイン戦と同じ負けだが、その内容には大きな差があった。3戦目にしてようやく手にしたのは、安堵と高揚感だった。

後半、笑顔がこぼれる場面があった(左から)中島依美、岩渕真奈、籾木結花後半、笑顔がこぼれる場面があった(左から)中島依美、岩渕真奈、籾木結花 試合開始早々に失点をする、自陣深い位置からのパスミスであっさりゴールを決められる......この日も悪癖を振り払うことはできず、前半だけで2失点。それでも、ピッチにはスペイン戦とは違う空気感が確かにあった。それが明確になったのは、後半に岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)が入ってからだ。

 それまで、あと一手が足りずに燻っていた状況が、岩渕がタメを作ることで好転する。相手DFが岩渕を囲い込めば囲い込むほど、際どいところでスルッとボールを押し出し、空いたスペースに次々と選手たちが走り込んでくる。

 これまで"3人目の動き"が、ほとんど見られなかった攻撃がウソのようだった。あのアメリカが日本のパスに食われ、左右に振られているではないか。それも一度や二度ではない。そして、ついに今大会無失点で来ていたアメリカから日本が初ゴールを奪ったのである。

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